環境落語原稿「まいど環境配慮型屋台2015」(後編)
サラリーマン「おまえ、ほんまにたこ焼き屋か? うまい商売しとんな。しかし、わいみたいに、初めて来た客は段取りわかれへんから、マイタッパー用意してへんで。」
たこ焼き屋「それはご心配なく。初めてのお客さんのために“通い(かよい)タッパー”いうのんを用意してまんねん。」
サラリーマン「通いタッパーてなんや?」
たこ焼き屋「まぁ、これはレンタルタッパーみたいなもんでんな、貸すときに300円もろといて、返してくれたら250円返すいう段取りですわ。」
サラリーマン「なんで、300円払うて、250円やねん。」
たこ焼き屋「それはレンタル料でんがな。今度来るときはマイタッパー持ってきたら50円引でっせぇ。お客さんも損しませんやろ。」
サラリーマン「これも、なるほど、うまいこと考えとんな。初めての客には通いタッパー貸しといて、リピーターにするいうことか。客も損せえへんし、たこ焼き屋も儲かる、それに、環境にええことしてるという客の意識も利用する。その客を呼び込みの営業までさせて、店のPRと一緒に環境啓発もやってる。それで、経費節減、環境配慮も実行する、すごいたこ焼き屋やな。」
たこ焼き屋「まぁ、そう言うてもろたら有難いでんな。やっと分かってもろたみたいで。10個焼けましたさかいに通いタッパーに入れさせてもろてよろしいでっか?」
サラリーマン「やっとできたか。入れてんか。こっちにもらお。・・・・・・ほんで、これ、どうやって食べるねん? お前とこ、爪楊枝置いてへんねやろ?」
たこ焼き屋「マイ箸で食べはったらよろしいねん。」
サラリーマン「マイ箸て、そんなもん持ってへんやないか。」
たこ焼き屋「持ってまへんのん。こんなん今は常識でっせ。おもいっきり、環境意識の低い人やな。そしたら、しゃぁないから、うちのマイフォーク、特別に貸しますわ。」
サラリーマン「そんな、ぼろくそ言わんでも。しかし、タッパーに入ったたこ焼きをフォークで食うなんか、たこ焼きいう感じせえへんな。・・・えぇ、これうまいがな。ネギも香ばしいて、はふはふ・・あつあつ・・・・」
10個食べてしましました。
サラリーマン「うまかったわぁ、こんなうまい、環境にもええたこ焼きやったら、ひとりで待ってる嫁はんにも、たこ焼き買うていったろ。ちょうど、鉄板もあいたことやし、20個持って帰るわ。この通いタッパーにいれてんか。」
たこ焼き屋「そらぁ、できまへんわ。」
サラリーマン「なんでやねん。鉄板1枚分注文したら、すぐに焼けるんとちゃうんかい?」
たこ焼き屋「すぐに焼けまっけど、あんた、たこ焼き20個も持って帰って食べきれまんのんか? 帰ったら嫁はんひとりでっしゃろ。今、ここで10個食べはったやろ、また、家に帰って、20個は食われへんと思いまっけど。」
サラリーマン「いらん心配すんな。そこまで、やいやい言われたないわ。20個やったら省エネで焼けるし、たこ焼き屋も儲かるやないか。せやろ?」
たこ焼き屋「あきまへん。もし、食べ残して余りを冷蔵庫にでもいれて、また、明日食べよ、思てて、これをコロッと忘れて、何日かたって、なんや、いつかのたこ焼きや、もうええわ、ポイとされたらかないまへん。お客さんとこで廃棄物を出すのもあきまへんねん。」
サラリーマン「そこまで、人の家のこと、心配せんでもええやろ。買うたもんどないしようが勝手やろ。」
たこ焼き屋「うちはゼロエミッション目指してまんねん。」
サラリーマン「なんやて、ゼロエミッション? ゼロエミッションいうたら、うちの工場でもやってるがな。廃棄物一切出せへんいうやっちゃろ。そんなんいわんでも、お前とこ、もうゼロエミッションになってるやないか。容器も紙も爪楊枝も使わん、完全受注生産やから材料も注文受けた分しか作らん、せやから、廃棄物ないやないか。」
たこ焼き屋「いいや、あきまへん。ゼロエミッションいうのんはうちの商品がお客さんとこで廃棄物になったらあかんのです。せやないと、環境配慮型なんか看板に書けまへんがな。最近は環境配慮してるいう店もあるけど、ここまでしてる店はまだ少ない。これがほんまもんの環境配慮やいうとこをお客さんにPRせなあかん。この辺で環境配慮が当たり前になったとき、有利になるんですがな。」
サラリーマン「なんや、ますます凄いな。完璧なマネジメントやないか。よし、わかった。そんなら、何個やったら焼いてくれんねん?」
たこ焼き屋「そうでんなぁ、10個やったら食べ切れるのんとちがいまっか? うちのたこ焼きは熱いうちに食べてもらうのが一番おいしいんです。おいしいうちに食べてもらうためにも、残るような量は売りまへんのや。そのためには、お客さんをよう観察して無茶な注文する人には、食べきれる量を提案して売ってますんや。」
サラリーマン「偉い!! 商売人の鑑(かがみ)!! これこそ環境配慮型屋台!! そしたら10個もらうわ。」
たこ焼き屋「はいはい、毎度」
(たこ焼き屋は、なにもしません)
サラリーマン「あっ、しもた。えらい注文してもうた。20個になるまで焼かれへんがな。こら、たこ焼き屋!! なんちゅう提案するんじゃい!! また、待たなあかんやないか!!」
たこ焼き屋「そしたら、また営業しなはれ。」
サラリーマン「なんやと、こらぁ。なんぼ環境配慮型いうても、客使い荒すぎるやないか!!ええ!!どない思とんじゃ!! ええ加減にせえよ!!」
たこ焼き屋「あんたも、今、商売人の鑑(かがみ)!!とか、 これこそ環境配慮型屋台!!とか言うてましたやないか。環境に配慮しょう思うたら、協力せなあきまへんねや!! わからん人やな。」
サラリーマン「そんなん、わかっとるわ。わいは、急いどるのん、忘れとったんじゃ!! おまえとこ、どんな注文の仕方したら、すっと焼いてくれんのじゃ!!」
わいわい言うてますところに、
女性客「あの~。取り込み中すんませ~ん。10個くださ~い。」
(女性客は主人公の嫁はん)
サラリーマン「あれ? おまえ、家で待ってたんと違うんか?」
女性客「なんや、あんた。遅い思うたらこんなとこにいてはったんですか。急に娘が孫連れて来たんで、あんまり遅いから、たこ焼きでも食べよ思うて。」
サラリーマン「しかし、おまえ、タイミングええとこで、また、ぴったりの個数注文するな。」
女性客「そらそうですがすな。ここのたこ焼き屋さんは環境にも配慮してるし、おいしいから、よう来ますねん。私も営業させられたり、長いこと待ったりしてましたわ。せやけど、こうして、たこ焼き屋の大将とお客さんが、だいたいいつもわいわい言うてはります。それを、ちょっと聞き耳たてて聞いてたら、今、何個足らんないうことが分かりますから。それを注文したら、営業もせんでもええし、待たんでもええんです。」
サラリーマン「なるほど。環境配慮型屋台と付き合うには情報の収集が大事や言うことか。これは客側のマネジメントやな。わしも、これからは、そないしょ。これで、営業もせんでもええし、もう待たんでもええ。こらぁ、たこ焼き屋、はよ焼いたらんかい。」
たこ焼き屋「はいはい、毎度おおきに!」
たこ焼きだけに、まるう収まりました。
(たこ焼きは、最初は鉄板一面に具が散らばっていますが、最後は鉄板の穴に丸く綺麗に収まるというイメージです)
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落語タイトル「毎度(まいど)」について
大阪弁では「毎度」という言葉にいろんな意味があります。
ストレートな意味は「たびたび」とか「いつもいつも」とかいう意味です。
しかし、大阪の商人は「毎度」というといろいろな内容が含まれます。
普通の感じで
「毎度」
「お~、毎度」
というと、これは挨拶です。
挨拶でも「おはよう・こんにちは・こんばんは」何でも適用されます。
いつでも、「毎度」なのです。
「毎度」
「あ~ 毎度」と気だるい感じでかえされると
最初の「毎度」は「最近、どうですか?」
気だるい「毎度」は「あきませんな~」とか「体調が悪い」とか「商売がしんどい」と言う意味になります。
「お~、毎度毎度」
「お~、毎度毎度」
と元気な声で言い合うと
「久しぶりやな~」
「元気にしてるか」
というような意味になります。
このように「毎度」は「毎度」だけでいろんな意味に使うのですが、「毎度」の後になにか言葉を付けると、感謝の気持ちや特別な意味を強調することになります。
「毎度すんまへん」
というと、「いつも御贔屓いただいて、ありがとうございます」
となります。別に謝っているわけではありません。「すんまへん」にもいろんな意味がありますから。
ちなみに「すんまへん」は標準語でいうと「すみません」です。
落語に登場するたこ焼き屋はお客さんに対して
「毎度。」と「毎度おおきに。」を使い分けているのです。
環境配慮型屋台を理解しているお客さんには「毎度おおきに」
理解していないお客さんには「毎度。」としか言わないのです。
お気づきになりましたか?
「毎度」は単なる挨拶、「毎度おおきに」には、“環境経営を理解してくれてありがとう”という意味が含まれているのです。
これは、落語シナリオライターとしてのこだわりですけど・・・・
できたら、わかってほしいなぁ~
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